「懐かしい」と思う人も多いのでは……

 新型コロナウイルスの感染拡大は、世界保健機関(WHO)がパンデミック(世界的大流行)を宣言する事態に発展した。

 本コラムでは前回、細菌やウイルスに関する基礎テキストとして『もやしもん』(講談社)をご紹介するとともに、新型ウイルスについてこんな見解を示した。

・すでに完全な「封じ込め」は難しい
・医療リソースの枯渇を回避し、治療法とワクチンの開発の時間稼ぎをするべきだ
・難しいのは感染抑制と経済的ダメージのバランスの取り方だ
・経済的打撃は、ウイルス禍と同じように人の生死を左右する

 今回はこの経済的なダメージについて考える必読書として、『ナニワ金融道』(講談社)を改めて推したい。

 株式相場の暴落や各国中央銀行の緊急対策といったニュースに目が向かいがちだが、今こそそんな「空中戦」とは違った世界、日本経済の土台である中小・零細企業の現実に目を向けるべきだと考えるからだ。

「ダークサイド金融マンガ」の金字塔

 『ナニワ金融道』の連載は1990年から1997年までと、バブル経済の最終局面から崩壊期に重なっている。

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