「戦場」と化した欧州「新型コロナ」惨禍

執筆者:渡邊啓貴2020年3月26日
医療現場こそまさに「戦場」そのもの(イタリア北部ロンバルディア州の病院)(C)AFP=時事
 

 中国や韓国で猛威を振るった新型コロナウイルスは、3月中旬以降、欧州を席巻している。

 イタリアでの死者は3月25日時点で 7000人に迫る勢いとなり、ついに3300人弱の中国を超え、最も死者の多い国になった。ここ数日は毎日600人台、700人台の死者が出ており、増加に歯止めがかかっていない。

 感染者数でもイタリアはすでに7万人超となっており、8万人超の中国に次いで多い。

 米国でも感染者数が日々増大して5万人超となっているが、スペインで4万人超、ドイツでも3万人超、そしてフランスでも2万人に迫っており、やはり欧州での急速な感染拡大が際立っている。

「第2次世界大戦に匹敵」

 3月初め時点では、欧州にとってまだ新型コロナの拡散は中国、韓国など「遠いアジアの物語」だったが、今やこのウイルスとの主戦場は欧州に移っている。

 3月17日、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、EU加盟国とシェンゲン協定(欧州各国間の検査なし越境を認めた条約)締約国への域外からの入国を30日間不要不急の場合以外禁止することを提案、翌日の委員会で承認された。ついに、EU(欧州連合)は国境を閉じたのである。

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