次から次へと出てくる改革潰し軍団。甘利行革相も労組「連合」も、満を持して“お仲間”に……。 政権発足からわずか二カ月で、内閣支持率は急降下。麻生政権は早くもきりもみ状態に陥った。定額給付金、道路財源、地方出先機関改革などでも官邸の迷走は止まらない。 そんな中、行政改革は、迷走というより、着実に“改革逆行”の巡航モードに入った。甘利明行政改革担当大臣の直属のはずの官僚はこう評する。「甘利大臣はもはや完全な抵抗勢力。あるときは労働大臣、あるときは経済産業大臣に戻って、行革をつぶす側で立ち回る。行革の旗は当面おろすしかない」。 甘利氏は両ポストの経験者だが、「労働大臣」に戻ったというのは、雇用・能力開発機構の一件だ。この機構は、雇用促進事業団を前身とする、厚生労働省所管の独立行政法人。労働保険特別会計の余剰金を湯水のように使い、かつてはスパウザ小田原を四百五十億円、最近では「私のしごと館」を五百八十億円かけて作った上に毎年赤字を垂れ流した。いわば「無駄遣いのシンボル」だ。さすがに福田政権下でいったん廃止と決まったが、甘利大臣は「機構は中小企業の競争力強化のために必要」などの発言を繰り返した挙句、十二月十日、舛添要一厚生労働大臣との折衝で、あっさりと存続に合意した。甘利氏らは「高齢・障害者雇用支援機構と統合して、廃止」と強弁するが、組織と事業はほぼ現状どおりで合併するだけだから、実態は何も変わらない。自民党関係者も「骨抜きとかいったレベルでなく、明白な逆行。ここまでひどい結論になるとは」と呆れ返る。

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