今年1月にミャンマーを訪れた習近平国家主席(C)AFP=時事

 

 今年11月から12月にかけて、ミャンマーでは総選挙が予定されている。

 前回の総選挙では反国軍・民主化を掲げた「NLD」(国民民主連盟)が圧勝したことで、アウン・サン・スー・チーNLD党首が国家顧問兼外相として大統領の上に立って国政を統べ、内外からの民主化・国民和解への期待を追い風にして、2016年3月には勇躍と政権をスタートさせた。

 あれから4年が過ぎた。予想に違わず、やはり“期待外れの5年間”だったように思う。

 経済は一向に上向かず、ガソリン、野菜、米、肉類などの生活必需品の値上がりが止まない状況下で、2020年1月19日には最大都市のヤンゴンで最低賃金の倍増を要求する1万人規模のデモが行われた。

 スー・チー政権は積年の対立解消に動こうとするが、国軍側からの歩み寄りは見られない。少数民族による反政府武装闘争は相変わらず燻り続ける。ロヒンギャ問題は解決のメドすら立ちそうになく、欧米やイスラム諸国からの批判は募るばかりだ。

 そのうえ、いわば八方塞がりのスー・チー政権の前に新たな難問が現れた。世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスである。

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