金融危機は両国の実体経済にも深刻なダメージを与えた。だが、大胆に予測すれば、その回復は予想外に早いかもしれない。 世界経済は漆黒の闇のなかにある。消費、設備投資、雇用、貿易、企業業績など、どこの国・地域の何の統計を見渡しても、すべては悪化、低下を示している。それもこの数カ月、月を追うごとに落ち込みは激しくなっている。企業経営者ならずとも、底知れぬ景気の悪化に不気味なものを感じざるを得ない。 高成長を謳歌し、世界経済の新たな牽引役と目されてきた中国、インドという巨大な人口を抱えるふたつの途上国も例外ではない。IMF(国際通貨基金)が昨年十一月に発表した主要国の成長率予測では、中国は二〇〇七年までの五年連続二ケタ成長が途切れ、〇八年は九・七%に低下したうえ、〇九年には八・五%まで成長が鈍化する。インドも〇八年の七・八%成長が〇九年には六・三%に急低下する。中国は成長のエンジンだった輸出と設備投資が、金融危機とその実体経済への波及によって低迷し始めたことの打撃が大きい。インドも富裕層を中心に高い伸びを続けてきた消費に陰りが出てきたことが内需主導の成長シナリオを狂わせる。 では、新興市場を代表する中国、インドの経済は本格的に失速し、長い停滞に入っていくのか。世界経済は期待される巨大市場を失い、一九三〇年代の大恐慌時のような低迷と混乱を続けることになるのか。

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