「百年に一度」と言われる経済危機の中、解散もできず沈滞を続ける麻生自民党に三行半を叩きつけた渡辺喜美・元行政改革担当相。今のところ同調の動きはなく、自民党からは罵声が飛ぶ。この時期に離党の道を選んだのはなぜなのか。これからの戦略はあるのか。渦中の渡辺氏に、その胸の内を聞いた。このままでは日本はつぶれる――自民党離党に先立つ一月五日、麻生太郎首相にあてて七項目の提言を出されました。内容は早期解散総選挙の実施、選挙後の危機管理内閣の立ち上げ、定額給付金の撤回と財源の地方への振り分け、内閣人事局に給与関連機能を移し、来年度の国家公務員人件費を二割カットすることなど。自民党内からはこれらの要求について批判が強く、たとえば給付金撤回については、反対するならば、なぜ給付金政策を決定したときに反対しなかったのかという声も聞かれますが?渡辺 定額給付金が企画立案されたのは昨年十月。そもそもは定額減税でしたが、それでは低所得者に恩恵が行きわたらないので給付金という形になりました。当時は原油や食料品が高騰しているので、生活の足しになればという発想でした。 しかし、その後、十一月、十二月には鉱工業生産指数が劇的に低下。企業の生産計画は年率換算すれば四〇%から五〇%もマイナスになるという想像を絶することが起こり、それが日本経済を直撃した。典型的なのは日本の景気を支えてきた輸出産業、なかんずく自動車産業が真っ先にやられたこと。関連産業の中には受注が六割、八割減少という企業が続出し、派遣工、期間工などの弱い雇用者から切られ、リストラはこれから正社員にも及ぼうとしている。

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