二〇〇六年に続いて起きたロシアとウクライナの正月の「ガス紛争」は、三日間で決着した前回と違い、もつれにもつれた。ロシアは一月一日、価格交渉の決裂でウクライナ向け天然ガスだけを止めたが、ウクライナが自国を経由する欧州向けパイプラインからガスを抜き取っていることを理由に、七日には欧州向けも全面停止した。だが欧州は、ロシアの強引な「資源外交」を激しく批判した前回と違い、中立的な姿勢を維持した。 ロシアとウクライナの本格的な交渉が年末まで始まらなかった理由の一つは、原油価格の下落に連動してガス価格も下がると見込んだウクライナが時間稼ぎをしたため。だがウクライナ政界筋によると、最大の原因はかつての「オレンジ革命」の同志で、今では年末にも予定される次期大統領選のライバルとなったユーシェンコ大統領とティモシェンコ首相の対立だった。 ティモシェンコ首相は昨年十月、ロシアのプーチン首相と、今後三年間で段階的にガス価格を引き上げ、最終的には欧州水準とする長期契約の締結で基本合意し、対露交渉の主導権を握った。ただ、その契約は、ウクライナが滞納しているロシアへのガス代金を全額返済することが条件。そこで大統領は、中央銀行と組んで支払いを遅らせ、ティモシェンコ首相の信用失墜を画策したのだという。

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