3月31日、施設に残っていた集会参加者たちは隔離施設へ向かった(C)EPA=時事

 

 全土封鎖(ロックダウン)の延長によってインド経済にさらなる打撃を与えつつある新型コロナウイルスの感染拡大が、国民統合を揺るがしかねない新たな問題を顕在化させている。

 3月中旬に数日間にわたってデリー中心部で開かれたイスラム教団体の集会が、2次、3次も含めて4000人以上に及ぶ集団感染を引き起こしたからだ。

 アンチ・イスラム色の強い与党「インド人民党」(BJP)幹部やヒンドゥー至上主義者らは相次ぎイスラム教徒を非難し、各地でイスラム教徒への暴力や嫌がらせが起きている。

 移民への国籍付与の対象からイスラム教徒を除外した昨年末の「改正国籍法」(CAA)施行が激しい抗議行動を招き、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の衝突につながったことは記憶に新しい。今回の集団感染が、さらなるイスラム教徒排撃や宗教対立の再燃につながる恐れも指摘されている。

全感染者のほぼ3割が集会で……

 問題のイスラム教団体「タブリギー・ジャマアト(ウルドゥー語で“伝道師の会”の意味)」は、イスラム復古主義を掲げて東南アジアや中東などに数百万人の信者を抱え、国境を越えて活動している。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。