四月に総選挙、夏には大統領選と熱い年を迎えたインドネシア。選挙が近づくにつれ世論調査も頻繁に実施されている。ところが、一部の政党や政治家から「特定の勢力から資金提供を受けて偏った調査結果を公表している調査機関がある」との批判が急速に高まった。 インドネシアには日本の国際協力機構(JICA)の支援で二〇〇三年に設立された「インドネシア調査研究所」があり、その調査は正確・中立で信頼できるとされてきた。だが〇四年、同研究所の内部対立で代表だった人物が「インドネシア調査研究センター」という別機関を設立、世論調査を始めた。 この両機関、政党支持率、大統領候補支持率などでことごとく結果が食い違い、双方の信頼性が揺らいでいる。昨年十二月の支持政党調査では「研究所」が民主党(二三%)、闘争民主党(一七%)、ゴルカル党(一三%)、「センター」は闘争民主党(三一%)、民主党(一九%)、ゴルカル党(一一%)といった具合だ。 混乱に拍車をかけているのが、選挙イヤーを当て込んで「全国調査研究所」「改革機構」「アクセス調査インドネシア」などの民間機関が続々と誕生し、独自の調査を始めたことだ。 この事態に、国会第一党のゴルカル党幹部も世論調査の正確性、独立性を問い、「世論調査が今や政治ビジネスとなっている」と厳しく批判。噴出する批判に、ついに総選挙委員会も動き出し、各世論調査機関の信用度調査を実施し、委員会が認可を与えた機関だけに調査を認めるとの方針を示した。

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