記者会見も開いた77歳の理髪店主カール・マンキー(ミシガン州オワッソー・筆者撮影、以下同)
 

 ようやく私の順番が回ってきて、床屋のイスに座ったのは、5月8日(金曜日)の午後10時前のことだった。

 午後4時から待っていたので、待ち時間だけで約6時間。その前に、ミネソタ州セントポールからアイオワ州を経由し、700マイルの距離を1日半かけて車を運転してきた。 目的地はミシガン州オワッソー。州都ランシングから車で北東に走って約1時間のとこ

ろにある人口1万5000人弱の田舎町である。

マンキーが経営する理髪店

 床屋の名前は「カール・マンキー理髪店」。アメリカのどこにでもある普通の床屋だ。散髪代は15ドル(約1600円)で洗髪はなし。店主のカール・マンキー(77)が、1人で髪を切る。客1人にかかる時間は15分前後だ。

 私はイスに座るとすぐに取材をはじめた。

 私の背後には、まだ10人ほどの客が待っている。衆人環視の中での取材である。

 あとで説明するが、思い切り“アウェー感”があるのだ。阪神ファンが東京ドームで行われる対巨人戦を見に行って、1塁側に座り阪神を応援するような感じだ。

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