2018年4月、ガーナ「みんなの学校」事業の対象校にて(JICA提供)
 

 昨年10月に緒方貞子さん、11月に中曽根康弘元首相、12月に中村哲さん、そして今年4月に岡本行夫さんと、立て続けに大事な人を亡くしてしまった。

 中曽根さんは101歳、緒方さんは92歳。中村さんは73歳でまだ若かったが、危険な場所だったから、衝撃はあったが、さほど驚きはなかった。

 しかし岡本さんは74歳、いつも若々しかった。それが東京で「新型コロナウイルス」に倒れるなんて、未だに信じられない。

 岡本さんが最初にその存在を際立たせたのは、まず、1990年の湾岸戦争当時、外務省の北米一課長として日本のプレゼンスを示すために獅子奮迅の働きをしたことであった。

 また1996~98年の橋本龍太郎内閣において、内閣総理大臣補佐官として沖縄基地問題解決のために大活躍したこと、2003~04年には小泉純一郎内閣において、やはり内閣総理大臣補佐官としてイラク復興支援のために現地を走り回り、その過程で部下の奥克彦大使らを亡くしたことも、よく知られている。

 五百旗頭真・伊藤元重・薬師寺克行編『岡本行夫――現場主義を貫いた外交官』(朝日新聞出版、2008年)も、この3つの活動を中心に据えたもので、今読んでも感動的である。

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