飯炊き蟄居

執筆者:阿川佐和子2020年6月6日
「献立作りはまるでリレーのようである」

 

(4月28日発売の新潮社『波』5月号より転載しています)

 前代未聞の世界的な危機に直面し、たくさんの人々が精神的にも肉体的にも、そして経済的にもただならぬ苦難と戦っているこの時期に、このようなことを申し上げるのは、はなはだ不謹慎な気もするのですが……、

 太った。

 なにゆえ太ったか。

 ずっと家にいて、毎日しっかり3食の食事をし、ろくに身体を動かすこともせず、外に出かける機会はめっきり減って、食っちゃ寝生活を続けているせいにちがいない。

 もともと私は1日2食派である。

 こういうことを公言すると、たちまち周辺各位から、「なーに言ってんの、食べてるくせに」と笑われそうなので言いにくいが、少なくとも数年前までは朝昼兼用ごはんと夕食だけの1日2食派であった。いや、正確には1日2食のことが多かった。ときどきゴルフ場で昼ご飯を食べるときもあったが……と、だんだん弱気になる。

 話は逸れるが、それこそ私の父がそうであった。

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