ハンガリーで学ぶ日本人医学生が増えている

執筆者:汐見一人2009年2月号

すでに百人以上が海を渡った。彼ら彼女らはなぜ、遠い東欧の地で医学を修めようとしているのか。[ブダペスト発]「医師不足を解消せよ」との世論に押されるように、文部科学省は二〇〇八年十一月、〇九年度から国公私立大の医学部定員を約七百人増やす計画を発表した。総定員は〇八年度に比較して約一割増しで、史上最多の約八千五百人となる。 医学部への「狭き門」が多少なりとも広がることを歓迎する受験生も多いだろう。私立大医学部の高額な学費を払うことができる家庭は限られており、ほとんどの学生は国公立大への入学を希望する。しかし、その国公立大に入るには高偏差値の入試を突破する必要があり、入学する前に医師への夢をあきらめてしまう受験生も少なくない。 そうした中、国公立でも私立でもなく、海外の医学部を経て医師を目指す「第三の道」を選択する学生が出てきている。行き先はハンガリーやチェコなど東欧諸国が中心だ。留学先として候補に挙がることの多い米国や英国は入試の難度が極めて高い。また、米国人留学生を多数受け入れていることで知られる中米のカリブ海諸国は、学費が高い割に医学教育のレベルに疑問を投げ掛ける関係者もいる。これに対し、東欧の大学医学部は英語で講義をする大学が多い上に、学費や生活費が割安なのが人気の理由となっている。

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