振り込め詐欺対策の切り札を売る会社の困惑

執筆者:清水常貴2009年2月号

銀行が装置の導入を始め、これから有卦に入るはずだったのに、思わぬトラブルが“頭上”から……。「これでATMを使った振り込め詐欺を防げる」と喜んでいるのは地銀大手の千葉銀行だ。暮れの十二月十日、本店と県内数支店のATM(現金自動預払機)コーナーに携帯電話を使えなくする抑止装置が設置された。ATMの二メートル以内に近づくと、突然、携帯電話が不通になってしまうという装置で、振り込め詐欺犯が利用していた携帯電話による振込先の指示ができなくなるのである。米田壯警察庁刑事局長と五十嵐邦雄千葉県警本部長も千葉銀行本店にあるATMコーナーを視察。その能力に期待を込めた。「振り込め詐欺の被害総額は昨年の年初から十一月末までで二百六十三億円に上るが、そのほとんどで銀行のATMが利用されている。被害者をATMに連れ出し携帯電話で振込先を指示する手口で、いくら行員を配置してそれらしい人に注意を呼びかけても『心配いらない』といわれると手も足も出ない。これから定額給付金の支給が始まると、それを狙った犯罪も増えそう。しかし、ATMの前で携帯電話が切れれば詐欺グループは振込先を指示できない。振り込め詐欺を激減させられる」(千葉銀行広報部)

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