かつて側近いま仇敵(C)AFP=時事
 

 ジョン・ボルトン前国家安全保障問題担当大統領補佐官の回顧録『THE ROOM WHERE IT HAPPENED(それが起きた部屋)』が出版され、反響を呼んでいる。

 同書に対する米国民と世界の関心は、11月の大統領選挙に向けて、ドナルド・トランプ大統領の指導者としての資質が適正かどうかという点で、ライバルの民主党陣営に、多くのネガティブキャンペーンの材料を与えることだろう。

 とりわけ、トランプ大統領が自身の再選のために中国の習近平国家主席に協力を依頼していたとの証言は、世界に衝撃を与えた。

これまでの「元側近」らの暴露より衝撃は大きい

 また、中国との交渉で通商関係のディールを優先し、香港の民主化運動や新疆ウイグル自治区での人権問題に無関心であったという生々しい証言は、まがりなりにも自由と人権の理念をもとに建国された米国の大統領選挙に一石を投じることは間違いない。この点はさらに、「Black Lives Matter」(=BLM=黒人の生命は大切)運動によって自国の人権問題も大きな争点となる中で、トランプ大統領の資質が大きく問われる内容であることも確かだ。

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