「フロイド事件」抗議デモで燃え上がる「ミネアポリス」の夜(上)
2020年7月8日
「防弾チョッキとヘルメットは持っているのか!」
警察から必死に逃げてきた20代の白人の男に向かって、
「事件はどこで起きているのか?」
と私が尋ねると、こんな怒鳴り声が男から返ってきた。
もちろん、そんなものは持っていない。
まぁ大袈裟に言っているのだろう、くらいに思って、彼が逃げてきた方向に歩を進める。
街灯が少ないところでは、空の高い位置にある半月の明かりだけが頼りだ。
私の後ろには、焼け落ちた地元のレストランがあり、前方右手には、3日前に火を放たれ、いまだに煙を上げる全国チェーンスーパーのターゲットが見える。
私はこのターゲットの周囲に車を停め、取材をはじめていた。
2、3分歩いたところで、私の横を通り過ぎようとした白の四輪駆動車が、追いかけてきた4台のパトカーに行く手を塞がれた。数人の警察官が飛び降りてきて、運転手に大声で叫ぶ。運転手が窓を開けるやいなや、警官がペッパースプレーらしきものを、車の中に数回噴射した。
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