コロナ禍における「4つのチャレンジ」(下)

執筆者:北岡伸一2020年7月12日
「GAVIアライアンス」オコンジョ・イウェアラ理事長(右)とのオンライン会談(JICA提供、以下同)

 

 もう1度、第1の挑戦に戻ろう。

 私がこういう研究を始めたのは、コロナが世界史的な事件であると考えるからである。豊かで優れた医療を持つ欧米の国々で、これほど感染者、死者が出たのは例がない。第1次世界大戦後に国際連盟ができ、また第2次世界大戦後に国際連合ができ、ブレトン・ウッズ体制ができたような大きな変化が必要になるかもしれない。こういう考えから、今後の世界のあり方について、内外の有識者やハイレベルの実務家と議論しようと思ったのである。

 まず5月1日、赤十字国際委員会(ICRC)のペーター・マウラー総裁とTeamsで話した。

 マウラー総裁は、私が国連の次席大使だったころのスイスの国連大使で、その頃から親しくしている。JICAの理事長になってからは、年に2、3回は会っている。世界各地で果敢に活動しているICRCからは学ぶことが多い。

 今年1月のダボス会議では、ICRCと国際協力機構(JICA)の間で、小さくてもいいから人道的な観点で意味のある共同事業をやろうということで合意して、ミンダナオ、ロヒンギャなど、合計4件に着手している。共同事業でないとできないというわけではないが、何と言っても人道支援の老舗の赤十字と一緒にやっているということは宣伝効果も大きい。パンデミックの中でも情報を共有しつつ、協力は進めようという話が中心。

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