結局、対露安倍外交とは何だったのか(2019年9月、ウラジオストクにて)(C)AFP=時事
 

 安倍晋三首相が悲願とするロシアとの平和条約締結は、「領土割譲禁止」条項を含むロシアの憲法改正によって破綻した。

「近隣諸国との領土画定は例外」とする規定はあるが、ロシア外務省報道官は、

「日本との国境問題は例外にならない」

 と断言した。ロシア議会では関連刑法の制定が進んでおり、領土問題解決は大幅に遠のいた。

 2013年以降、11回ロシアを訪れ、通算27回もウラジーミル・プーチン大統領と会談した安倍首相は、戦後の歴代政権では最も親露的な政権だったが、その結末は「領土割譲禁止」という手厳しいしっぺ返しだった。

 韓国や北朝鮮には強硬な首相が、ロシアには勝算のないまま、なぜあれほど柔軟な融和外交を展開したのかは謎だ。

 それ以上の謎は、プーチン政権が日本側の善意やアプローチをことごとく無視し、終始高飛車な姿勢を貫いたことだ。国粋主義に転換したロシア外交は、柔軟性や多角性を失っているかにみえる。

 ロシアの改憲問題を軸に、安倍・プーチン交渉を総括してみた。

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