「オバマの右腕」エマニュエル首席補佐官の解剖

執筆者:アレクシス・シメンディンガー2009年2月号

大物相手でも平気で「ノー」を突きつける戦闘的人物は、新大統領を助けてホワイトハウスをうまく切り盛りできるか。[ワシントン発]かつて真剣にクラシックバレエを学んだラーム・エマニュエルだが、昨年十一月、米大統領就任が決まったバラク・オバマから首席補佐官就任を打診された時は、即座にその椅子に向かって跳躍したわけではない。民主党議員会長として、下院議長、共和党院内総務、民主党院内総務に次ぐ下院第四位の地位にあったエマニュエルは、いずれユダヤ系初の下院議長になることを期しており、親しい友人にもその野望を口にしていた。イリノイ州選出議員として三期目を務めていた彼にとって、オバマが提示したポストは想定外で、果たして自分が望む仕事かどうか定かでなかったのだ。 エマニュエルは即答を避けた。国家が緊急事態に直面するこの時期に、自らの政治的野心をいったん横に置き、ホワイトハウスでの激務に身を投ずることが正しい選択なのかどうか。権力の階段を上るという意味では、大統領首席補佐官は「キャリア・アップ」というより「国家奉仕のための寄り道」という色彩が強くも見える。四十九歳のエマニュエルには個人的な事情もあった。妻と三人の子供達はイリノイ州内で暮らしており、ワシントンに拘束されれば離ればなれの生活になる。

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