イスラエルとハマスの戦いの見えない終着点

執筆者:ガーション・バスキン2009年2月号

ガザ攻撃でイスラエル国内の結束は高まったが、皮肉にもパレスチナ側ではハマスへの支持が高まるばかり。“出口”は見つからない。[エルサレム発]パレスチナ自治区ガザからイスラエル国内に向けたミサイルや迫撃砲による攻撃が三週間続いた後の昨年十二月二十七日、イスラエルはガザを支配するハマスに対する反撃を開始。空爆に続いて今年一月三日には地上軍を侵攻させた。いかなる国家も国境を越えた自国民に対する武力攻撃は容認しない。その意味で、イスラエルの人々からすれば今回の攻撃はハマスに対する「正当な」反撃だった。 二〇〇五年夏、イスラエルはガザからの一方的撤退を決定。八千人の入植者を退去させ、駐留していた二万から三万のイスラエル部隊をすべて撤退させた。それ以前、パレスチナ側は、イスラエルに対する迫撃砲攻撃と入植者やイスラエル軍に対するテロ行為はイスラエルの占領に対する抵抗運動であると主張してきた。従って、イスラエル側からすれば、ガザから完全に手を引けば、「抵抗」は止み、和平を進めるための新たな一章が開かれるはずだった。 だが、そうはならなかった。〇六年一月、パレスチナ評議会(国会に相当)選挙でパレスチナの人々は、イスラエルとの和平交渉を進めるファタハではなくハマスを第一党に選んだのだ。イスラム原理主義を掲げるハマスはイスラエル壊滅を目標にしており、イスラエルの存在そのものを完全否定する綱領を定めていた。しかもハマスは、占領が問題なのではなく、イスラエルの存在そのものが問題なのだから、「抵抗」(イスラエルからすれば「テロ」である)を続けるのは正当であると主張した。そしてその年六月、イスラエル国内の軍事基地に大規模な攻撃をしかけ、数人のイスラエル兵を殺害、ギラド・シャリット伍長を拉致し捕虜にした。

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