9月29日に行われたオンラインセミナー【2020年「石油価格戦争」その後とこれから】は、27日に発生したアルメニアとアゼルバイジャンの軍事衝突を受けて、そのエネルギー市場への影響や歴史的背景、ロシア、トルコを含む紛争の構図、今後の見通しについても議論が白熱しました。
 
 その鼎談を「2020年石油価格戦争とアルメニア・アゼルバイジャン紛争」として再構成し、3回に分けて掲載いたします。
 
 

岩瀬昇 まず私から、議論のとっかかりとして「2020年の石油価格戦争のその後とこれから」についてお話しして、3人で議論をしていきたいと思います。

 世界の石油需要は1日当たり1億BD(バレル/日)ですが、4月には3割落ち込み、現在は1割弱の900万BDに落ち込むとの予測で推移しています。

2020年の石油市場

 2020年の石油市場をグラフで見ると、4月20日にWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物が史上初のマイナスで37ドルという価格をつけました。この「マイナス価格」は市場に大きな影響を与え、その後、40ドルくらいのところで推移しているのが今の状態です。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。