9月29日に行われたオンラインセミナー【2020年「石油価格戦争」その後とこれから】は、27日に発生したアルメニアとアゼルバイジャンの軍事衝突を受けて、そのエネルギー市場への影響や歴史的背景、ロシア、トルコを含む紛争の構図、今後の見通しについても議論が白熱しました。

 その鼎談を「2020年石油価格戦争とアルメニア・アゼルバイジャン紛争」として再構成し、3回に分けて掲載いたします。

 

池内恵 我われがこうして定期的にお話ししていると、その前後に必ず何か凄いことが起きますね(4月の「国際政治チャンネル」での鼎談直後に史上初の「マイナス価格」が発生)。

 今回は2日前(9月27日)にアルメニアとアゼルバイジャンの軍事衝突が起きました。

 

岩瀬昇 今回の事態をエネルギーの観点から見るために、独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」(JOGMEC)の地図をご紹介します。

BTCパイプライン(出典:JOGMEC「石油・天然ガスレビュー」2012.11. Vol.46 No.6)

 右側がカスピ海で、左側が黒海、左下に地中海があります。アゼルバイジャンの首都で石油産業の中心地であるバクーからカスピ海の原油を輸出するために、緑色のBTC(バクー・トリビシ・ジェイハン)パイプラインが1800キロほど山を越えて結ばれています。

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