9月29日に行われたオンラインセミナー【2020年「石油価格戦争」その後とこれから】は、27日に発生したアルメニアとアゼルバイジャンの軍事衝突を受けて、そのエネルギー市場への影響や歴史的背景、ロシア、トルコを含む紛争の構図、今後の見通しについても議論が白熱しました。

 その鼎談を「2020年石油価格戦争とアルメニア・アゼルバイジャン紛争」として再構成し、3回に分けて掲載いたします。

 

小泉悠 お話を伺うと、中東におけるイスラエルとトルコの対立が北側の旧ソ連圏にも波及してきたのかなという感じがします。

 そこで気になるのは、東地中海の新しいガス田を巡ってトルコとギリシャなど沿岸諸国が揉めていますよね。このガス田はエネルギー源として、みんなが固執するほど凄いものなのですか。

 

岩瀬昇 東地中海でガスが発見されているのはキプロスの南と南東。対岸で言うとイスラエルとエジプト。トルコや北キプロスが主張できる北側や西側で発見されたことはないのです。なので、トルコがガス田の権利を主張するのは分かるのですが、本当に実のあるものなのかどうかは疑問です。

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