エチオピアを訪れたポンペオ米国務長官(右)と アビー・エチオピア首相(左)(C)AFP=時事

 

 10月23日、イスラエルとスーダンが国交を正常化することで合意したことを、ホワイトハウスが発表した。仲介役となったことを誇るドナルド・トランプ米大統領は、上機嫌で報道陣を呼んだうえで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に電話し、

「居眠りジョー(・バイデン)にこれができたと思うか?」

 と尋ねた。このやりとりは、日本でも大きく報道された。 

「エジプトはダムを爆破するだろう」

 しかしトランプ大統領がスーダンのアブダラ・ハムドック首相にも電話をして、さらに軽口を叩いた時の発言は、日本では報道されなかった。トランプ大統領は、「ダムの問題」も平和的に解決させたいと述べるハムドック首相に対して、

「とても危険な状態だ、エジプトはダムと共生できない、声を大にして言うが、エジプトはダムを爆破するだろう」

 と述べたのである。

 トランプ政権は、エチオピアがナイル川上流に建設した「大エチオピア・ルネサンス・ダム」に反発するエジプトとスーダンの間の調停役を買って出ていた(『エチオピア「ルネサンス・ダム」と「インド太平洋戦略」の帰趨』2019年11月18日)。

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