サガスティ新大統領に課された使命は来年4月の大統領・議会選(C)AFP=時事

 

 ペルーのマルティン・ビスカラ大統領の罷免に端を発した政治混乱は、ペルーの民主制度に決定的な危機をもたらしたと言える。

「議会によるクーデター」

 11月9日、ペルー国会(1院制議会で議席数130)は、3分の2を超す賛成(105票、反対19票、棄権4票)を以て、汚職容疑でビスカラ大統領を罷免した。そして副大統領が不在のため、憲法の継承順位に従い、マヌエル・メリノ国会議長が翌日、大統領に昇格。来年7月までの政権残任期間を担うことになった。

 しかし、これで事態は収まらなかった。ビスカラ大統領の罷免とメリノ政権への移行が「合法性を欠く」もの、あるいは「議会によるクーデター」だという非難が起き、議会と新政権に対する大規模な抗議デモが連日、全国で繰り広げられたのだ。

 国際的にもペルーの民主政治の行方に懸念が高まる中、治安当局とデモ隊との衝突で、14日に学生2人が死亡、94人が負傷する事態に発展。新政権の閣僚や政府高官が雪崩を打つように辞任し、議会も支えきれず、メリノ大統領は15日、就任からわずか5日で辞任に至った。

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