携帯電話契約の純増数で首位を快走するソフトバンクモバイルが、同業で携帯電話四位のイー・モバイルからMVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれる方式で、通信網の一部を有償で借り受けることになった。顧客の利用が集中する都心部などのデータ通信に必要な通信網を、比較的設備に余裕のあるイー・モバイルの通信網を借りて補う構図だが、その真意を訝る声が業界内外から上がっている。 本来、MVNO制度を導入した総務省の意図は、膨大な初期投資を軽減することで通信業界以外からの新規参入を促し、競争を活性化させようというもの。ところが、ソフトバンクのケースは「他社の通信設備を利用することで自社の設備投資を抑制する意図が透けて見える」との批判が起きているのだ。 実際、ソフトバンクグループの二〇〇八年度の設備投資額は二千七百六十五億円となる見込みで、〇六年度比で約三割の減少。〇九年度はさらに下回る計画になっている。まだ残っている遠隔地など通話のできない地域に設備投資の資金を回すのならいいが、その道筋は示されていない。

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