不思議の「親日国」パラグアイ

執筆者:北岡伸一2020年12月17日
エステ日本語学校での歓迎(JICA提供、以下同)

 

 2019年11月、パラグアイを初めて訪問した。

 パラグアイは日本から見て、地球のちょうど反対側にあって、おそらく日本から一番遠い国の1つである。また、一番知られていない国の1つかもしれない。しかし、もっとも親日的な国の1つである。

 私もパラグアイについては、たった1つの絆しかなかった。国連にはLLDC(Land-locked Developing Countries、内陸開発途上国)というグループがあって、世界市場へのアクセスにおいて不利な立場にあるこれらの国々を支援しよう、ということになっている。なぜだか、伝統的に日本がこの世話役をしていて、それが国連大使時代、私の仕事の1つだった。

 南米ではボリビアとパラグアイがLLDCのメンバーだったので、毎年の意見交換やパーティで、パラグアイの外交官とも知り合いになっていた。なぜ日本がLLDCの世話役なのかよくわからないが、外交では、どんな理由にせよ、仲間が増えるのはいいことである。

ヨーロッパ、そしてキリスト教の進出

 パラグアイは面積が日本よりほぼ1割ほど広く、40万平方キロ、人口は約700万人で日本の5.5%である。1人あたりGNI(国民総所得)は5000ドルあまり、日本の8分の1程度で、アジアの近隣の国でいうと、インドネシアより少し上である。

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