学生リアル取材ドキュメント「怪しいスマホ販売ビジネスを追え!」(中)
2020年12月30日
浮かび上がったA社のピラミッド組織
「インターン」を謳い文句に男子学生を集めながら、彼らに過酷な「労働」を強いているA社。
取材を進める私たちは、A社でおよそ1年10カ月にわたってインターンをしてきた1人の男子学生から新しい証言を得ることになった。
「君たちは個人事業主なので……」
S君はA社で働き始めて4カ月ほど経ったある日、実は自分が「個人事業主」であることを知って驚いた。携帯電話を販売して得た所得が年間103万円を超えそうだったので、自らの課税額がいくらになるか知りたくてA社の担当者に尋ねたところ、「君たちは個人事業主なので確定申告して下さい」と説明されたのだという。
私たちがA社で働いた経験のある他の学生4人に、この点について尋ねたところ、働き始めた時点で自らが「個人事業主」であるとの説明を受けた学生は皆無だった。自らが個人事業主である事実を私たちの取材で初めて知った学生もいた。
「個人事業主」はフリーランスと似たようなもので、特定の企業と雇用関係を持たず、個人として企業と対等な立場で業務を請け負う人たちのことを言うそうだ。労働基準法が適用されないので、S君の証言通り、学生たちが個人事業主としてA社と何らかの契約を結んでいるのであれば、学生が深夜まで働こうと、それは「個人事業主」である学生の自由。最低賃金は保証されない。
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