背景にある就活生の不安(写真はイメージです)
 

 大学生が友人ネットワークを使って携帯電話を販売するA社のビジネス。その実態を探るべくスタートした取材は佳境を迎えていた。(中)で述べた通り、私たちが取材した学生は、本人の知らない間に「インターン」ではなく「個人事業主」として働いており、時給換算すると最低賃金を大幅に下回る状態で激務を強いられている──。私たちはそのように考えた。

 この筋書きが「事実」であることのウラを取るためには、学生たちが働き始める際に署名してA社に提出した書類がどうしても欲しい。学生たちが「何かと理由を付けて見せてくれない」と口々に訴える書類には、何が書かれているのだろうか。

失敗に終わった書類入手作戦

 ゼミの男子学生、山田大誠と佐々木蒼馬の2人は2020年8月、「インターン」志望の学生としてA社の面接を受けてみた。8月12日に大阪市内のカフェで行われた1次面接で、山田と佐々木は学生の面接官に、

「以前、悪質なアルバイトに巻き込まれたことがあり、父親から事前に契約書に目を通すようにと言われている。採用を承諾する前に契約書を見せてもらえないか」

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