海図なき航海の行きつく先は――(写真はイメージ)
 

 2020年3月の「石油価格戦争」および「新型コロナウイルス」パンデミックにより「海図のない航海」へ漕ぎ出すことを余儀なくされた原油市場は、2021年どこへ向かうのだろうか?

『新潮社フォーサイト』掲載連続7年目になる年頭原油価格展望だが、今回は通奏低音のように、市場に静かな、だが大きな影響を与えているいくつかの「地殻変動」についても考えてみたい。

 ここで言う「地殻変動」とは、「2050年温暖化ガス排出ネットゼロ」(2050年排出ネットゼロ)に代表される気候変動対応の「エネルギー移行」であり、今では「いつ?」が焦点の「石油需要ピーク」であり、そして人間でいえば「還暦」を迎えた「OPEC」(石油輸出国機構)の存在意義である。

 どこまで読者の期待に応えられるかは疑問だが、今回はこれらの問題を含めて2021年の原油市場・原油価格の動向を考察してみよう。

 少々、長文となるがお付き合い願いたい。

 まずは、振り返りだ。

 2020年の筆者予測は「想定外」の大事件「コロナ」により、3月以降ほぼ意味をなさないものになってしまった。

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