バイデン大統領(左)とブリンケン国務長官(右)はどのような対北政策を打ち出してくるのか (C)AFP=時事

 

 北朝鮮の対外向けのネット宣伝メディアである『朝鮮の今日』は1月23日、韓国での報道を引用する形で、ドナルド・トランプ支持者の米議会議事堂乱入事件を、

「米議会はこの日、バイデンを当選者として宣言できず、翌日になって当選者として確定させた」

 と伝えた。北朝鮮系メディアがジョー・バイデン氏の大統領当選を報じるのはこれが初めてとみられるが、インターネットを使えない北朝鮮の一般住民は、この報道に接する機会などない。北朝鮮の『労働新聞」や『朝鮮中央放送』(ラジオ)、『朝鮮中央テレビ』など国内メディアはまだバイデン氏当選を報じていない。

 北朝鮮国内では、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が第8回党大会での活動総括報告で、

「米国で誰が執権しようとも、米国という実体と対朝鮮政策の本心は絶対に変わらない」

 と語り、何となく米国の大統領が代わったのかな、という印象を住民に与える発言をしただけだ。

 バイデン新大統領は昨年10月22日の大統領選挙のテレビ討論で、金党総書記を「悪党」(Thug)と呼んだが、北朝鮮はこれに今になっても反応していない。北朝鮮は「最高尊厳(金党総書記)」を冒涜する者はいかなる者であれ許さないという立場を取っているが、バイデン大統領に対しては沈黙を守っている。

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