オバマに寄り添うアクセルロッド上級顧問の「役割」

執筆者:リンダ・フェルドマン2009年3月号

[ワシントン発]デイビッド・アクセルロッド(五四)は、鋭いながらも悲しげな目をした長身の男で、権力を追い求めるタイプではない。もっとも、その必要もない。十七年来の友人バラク・オバマの大統領職への容易ならざる挑戦を選挙参謀として成功に導き、大統領上級顧問としてホワイトハウス入りした今、アメリカ最有力者の一人になったからだ。 党派対立の政治を終わらせると宣言した大統領が、側近中の側近を権力の中心近くに据えたのは、矛盾しているようにも見える。しかし、アメリカ政治は結局、大統領の意向から逸脱することはない。 野党共和党に対する大胆な歩み寄りもオバマ自身の選択だが、これにアクセルロッドが関与していることは疑いない。ホワイトハウスの事情に詳しい人々は、これから先も、オバマ大統領の重要施策の背後には必ず「アックス(アクセルロッドの略称)」の存在を感じることになるだろうと言う。 その仕事は、大きな政治戦略の立案にとどまらない。彼自身、経済であれ外交であれ、医療保険制度改革であれ、具体的な政策そのものに深い関心をもっている。 アクセルロッドは、ハーバード法科大学院出身の若き弁護士だったオバマが、イリノイ州上院議員を経て米上院選挙に出馬する前の二〇〇三年から、友人としてだけでなく選挙参謀としてオバマに寄り添ってきた。それだけに、あらゆる問題に関するオバマの考えを熟知した上で、上院選、大統領選における政策公約を共に練り上げてきた。

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