東エルサレム北部の様子。手前がパレスチナ人地区で、横断する分離壁の向こうがイスラエル人入植地だ (C)AFP=時事
 

トランプ前大統領が「世紀のディール」と呼んだ中東和平案は、イスラエルを利するばかりでパレスチナには到底受け入れがたいものでした。イスラエルの圧迫が続く中、それでも生き残りを模索するパレスチナ。そのような状況下で、日本は何ができるのでしょうか。

 2020年2月にパレスチナを訪問した。以前にも2度来たことがあるが、JICA(国際協力機構)の理事長としては初めてである。

 イスラエル・テルアビブのベン・グリオン国際空港に到着した数時間後、新型コロナウイルス対策として、日本が入国制限の対象国に追加されてしまった。危うく入れないところだった。

 そこから陸路でエルサレムに向かい、わずか1時間ほどでホテルに着いた。イスラエルは南北でも470キロ、東西では一番広いところで135キロくらいの国なので、割合近いのである。

分断、圧迫、分裂のパレスチナ

 パレスチナは人口が497万人、面積は6020平方キロで東京都の3倍弱である。1人あたりGNI(国民総所得)は4,190ドルである(2018年、世界銀行)。

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