謝罪する東京電力の小早川智明社長=中央 (c)時事

 

「能力の問題か。それともその程度でいいんだと、なめているのか」。3月16日に開かれた原子力規制委員会の臨時会議後に記者会見した更田豊志委員長は、異例ともいえる発言を繰り返した。

 東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)で発覚した外部からの侵入を検知できないなどテロ対策の不備が続いていた問題で、規制委は3月24日、東電に対し状況の改善が検査で確認されるまで、同原発内の核燃料の移動を禁じる是正措置命令を出すことを決めた。

 10年前に世界最悪レベルの原発事故を起こした東電は、通常の民間企業では工面できない事故処理費用を背負い、実質的に国有化されて存続した。だが、経済産業省が主導した極端な若返り人事やモノを言う者の徹底排除などが、組織の劣化につながっているという指摘が見逃せない。このままでは「原発を東電には任せられない」という声も日増しに高まる。

   是正措置命令は、早ければ4月14日の規制委定例会合で出される見通しだ。規制委は原子炉起動に関する審査をストップし、柏崎刈羽原発の再稼働は事実上「凍結」となる。

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