米国石油産業のインフラの多くが、IT時代を迎える前の建設だ ⓒEPA=時事

 米国最大の石油パイプライン「コロニアル・パイプライン」が2021年5月7日(金)、ハッカーによるサイバー攻撃を受け、全面操業停止に追い込まれた。本稿を書いている5月11日(火)現在、いくつかの支線は部分開通しているものの、3本の幹線パイプラインは休止したままだ。

 当パイプラインは、テキサス州メキシコ湾岸の製油所地帯から、大消費地であるニュージャージー、ニューヨークに至る5500マイル(8800㎞)にのぼる正に大動脈である。ガソリンやディーゼルオイル、あるいはジェット燃料など、東海岸地域需要の45%に相当する約250万BDの石油製品を送油している。日本全体の石油消費量が約400万BDだから、その規模の大きさが理解できるだろう。

 

 本件について、メディアの中には『米パイプライン復旧、時間との戦い 週またげば混乱拡大』(『日本経済新聞』電子版、2021年5月11日8:49)と見る向きもあるが、ガソリンなどの価格上昇は予測できるものの、大騒ぎするほどの「混乱」にはならないだろう、と筆者は見ている。

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