中国当局はディディ関連の25種のアプリに問題があると指摘している   ©︎AFP=時事

 データを新しい石油だと主張する全ての人にはこう言おう。「ほら、新しい『グレート・ゲーム』が始まったよ」――と。今年1月4日、米ユーラシア・グループが発表した2021年版グローバル10大リスク(Top Risks 2021)は、5番目のリスクとして「グローバルデータの因果応報」を挙げていた。

   中国ネット配車の滴滴出行(ディディ)が米国で株式を公開した直後に、中国当局は同社に投網をかけた。米欧そして日本が中国に自国のデータを抜き取られることを心配しているさなかに、その中国当局が自国企業にデータ管理を振りかざす。一瞬、戸惑いを覚えるような出来事は、データをめぐる「グレート・ゲーム」を象徴する。

 ユーラシア・グループの先見性に座布団1枚を進呈しつつ、今回のディディ騒動を整理しておこう。ディディは中国版のウーバーで、スマホのアプリなどで配車サービスを頻繁に利用する人(アクティブ・ユーザー)は約5億人にのぼる。中国人の交通の足というべきディディが7月4日、突然に中国のアプリストアから削除されたのだ。

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