2020年11月、菅義偉首相を表敬したデイヴィッド・バーガー米海兵隊総司令官 ©AFP=時事

 

7個戦車中隊を全廃、戦車400両を陸軍に移管

 米中大国間競争の時代、米国は中国の軍事力増強を自国の国益に対する挑戦と受け止めている。この挑戦に対応するため、ここ数年、米軍の全軍種において、新たな作戦構想や戦力構成の見直しが精力的に進められている。特に米海兵隊においては、その存在意義までをも根底から見直すという、ドラスティックな変革が進行中である。

 例えば、保有している7個戦車中隊全てを廃止し、海外に集積している戦車も含め約400両の戦車を陸軍に移管するとともに、海兵隊が伝統的に重視してきた水陸両用の戦闘強襲大隊を半減させようとしている。これを聞いた当初、筆者は驚くと同時にその背景を知りたいという思いに駆られた。陸上幕僚長として陸上防衛に責任を持っていた立場からすれば、「戦車ゼロ」というのはあり得ない考えであり(ちなみに、陸上自衛隊の戦車は近い将来、約300両になる)、また、「米軍はもう離島奪回作戦はやらないのか」とまで心配したほどである。

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