第二の都市・マンダレーは中国資本に席捲され、最大都市・ヤンゴンではロシア人観光客が急増。さらに北朝鮮まで――。[マンダレー、ヤンゴン発]街灯がない暗い路地にある観音開きのガラス戸から、青い蛍光灯とぼんやりとしたピンクの光が漏れている。丸っこいビルマ文字の横に、たどたどしい漢字が並ぶ。人影は見えないが、路上にはピカピカに磨かれた年式の新しい車が列をなす。現地ガイドが達者な日本語で解説する。「ここがマンダレーのラブホテル街です。女性を連れ込むのは、ほとんど中国人ですが」 ミャンマー中部に位置する同国第二の都市、マンダレー。金を扱う華人系の店が並ぶ通りから数百メートルという立地に、十軒ほどのラブホテルが並んでいる。ヒスイなどの貴石の取引で賑わった古都マンダレーは今、中国資本によって席捲されつつある。     * ラブホテルだけではない。「ホテル・マンダレー」「盛盛賓館」「太平洋大飯店」「亜州賓館」――。今や、市内の各所に建つ大型ホテルのほとんどを中国人が所有する。自家発電機を動かして深夜まで営業を続けている商店を覗くと、ほぼ全部に中華系の店主がおり、看板には必ず漢字が記されている。電力事情が悪いマンダレー市内で電飾がきらめくビルを見つけ、近づいてみると看板に「新世界不夜城」とある。中国語のカラオケや歌謡ショーが楽しめる夜の娯楽施設だ。

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