日米は「北のミサイル」にどこまで備えているか

執筆者:リチャード・ハロラン2009年4月号

軍事的・技術的問題に加え、誰がミサイル迎撃を決断するのかという大きな政治的課題が残る。[ホノルル発]去る一月十五日から二十七日の間、日米合同軍事演習「キーンエッジ」が行なわれた。これは自衛隊と在日米軍が二年に一度、コンピュータを使って緊急事態への対処を訓練する「指揮所演習」で、同じく二年に一度の「実動演習」と交互に実施されている。「キーンエッジ09」では、東京・福生市の在日米軍司令部(横田基地)とハワイ州ホノルルのヒッカム米空軍基地のコンピュータ前に両国の隊員が座り、日本に向けて仮想敵国から発射された弾道ミサイルに対処する合同演習も初めて行なわれた。宇宙衛星やレーダー基地、海上の艦船などから次々と模擬情報が送られてくると、日米の隊員が共同して情報を分析し、具体的な作戦行動を決定する。指揮官同士も、横田基地とヒッカム基地を結んだビデオ会議で毎日議論を交わした。 仮想敵国から発射されたミサイルの迎撃命令を誰が下すかは、その攻撃がどこか目標によって決められた。ミサイルの標的は、発射直後から軌道を追尾することで判明する。もし目標が霞が関の外務省だと判明すれば、どの時点で、どんな兵器を使って迎撃するかは、自衛隊幹部が決定する。標的が在日米軍基地ならば、米軍司令官が決断を下す。標的がアメリカの領土内であれば、むろん決定権はアメリカのものだ。

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