やりたい放題の霞が関をどう止めるか

執筆者:白石均2009年4月号

官僚言いなりの麻生政権下、逆コースの動きが止まらない。突破口は、与野党が党派を超えて公務員制度改革に取り組むことしかない。 政界を大きく揺るがした西松建設事件。政権奪取目前の民主党・小沢一郎代表を襲った、公設第一秘書の唐突な逮捕。民主党関係者ならずとも、“小沢潰し”“民主党潰し”という謀略の匂いを感じるのは当然だ。 火に油を注いだのが漆間巌・内閣官房副長官の「捜査は自民党議員には広がらない」発言だった。元警察庁長官であり官僚トップの座にある漆間氏には、もちろん重要な捜査情報は報告が上がる。民主党が「国策捜査の証左」といきり立ったのも無理はない。ただ、こんな発言をすれば、捜査が自民党に及ばざるを得なくなるのも自明の理。発言意図は理解に苦しむが、どうやら、「いかにも自分が仕切っているかのようにふるまって、記者に力を誇示したかっただけでは」(官邸詰め記者)というのが真相のようだ。 漆間氏のお粗末な失態からも、事件の内幕は垣間見える。官邸が司令塔となった“自民党政権による国策捜査”という見方はおそらく買いかぶりだ。麻生官邸にはそんな知略も能力もない。むしろ今回の事件は、官僚機構に漂う“民主党政権への警戒感”を体現した、自然発生的な“霞が関による国策捜査”ではないか。「(政権交代後は)局長以上にいったん辞表を出してもらう」(鳩山由紀夫・民主党幹事長)といった話が徐々に現実味を帯びる中、「霞が関幹部クラスの民主党への嫌悪感は、急速に高まっている」(経済官庁幹部)。検察も官僚機構の一機関としてこの空気は共有する。それが小沢代表秘書の逮捕という形で表出した、ということではなかろうか。

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