【Analysis】肥料価格の高騰がもたらす衝撃――全世界の農業従事者が施肥量を削減
2022年1月21日
[北京/サンパウロ/ジャカルタ]ブラジルのトウモロコシからマレーシアのドリアンにいたるまで、各国の主要作物が危機に瀕している。世界的に食料安全保障とインフレに懸念が生じているうえ、肥料の供給逼迫と価格高騰を受けて、農家が作物にとって必要不可欠な養分を切り詰めているためだ。
需要の増加と供給の減少が天然ガスおよび石炭の記録的高値を招き、エネルギー多消費型肥料部門の減産を引き起こしたため、2021年の肥料コストは急騰した。尿素が200%以上値上がりしたほか、リン酸二アンモニウム(DAP)の価格も倍近くになっている。
HSBCホールディングスのアジア経済研究共同責任者であるフレデリック・ノイマン氏は、世界の食料価格が10年ぶりという値となった今、肥料コストの上昇は特に輸入依存型諸国の食品適正価格を圧迫する一方、予算逼迫で政府による補助金の余裕はほとんどない、と述べている。
「コロナ禍がすでに数百万人の生命とその数十倍もの生計を奪うなかで、食料費の高騰は貧しい人々に特に深刻な打撃を与えています」と彼は言う。「そして、より高い肥料コストが農民に打撃を与えるのみならず、食料価格の上昇という形で消費者に転嫁されるリスクが高まるのです」
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。