連載小説:裂けた明日 第41回

執筆者:佐々木譲2022年2月12日
写真提供:EPA=時事

久保に案内された食堂で話していた信也一行。三杉の死に関連して、自分たちが参考人として手配されたらしいことをニュースで知る。

[承前]

 モニターの中で、アナウンサーの元に新しい原稿が届いた。

「いま入ってきたニュースです。共同統治地域内で、爆発がありました。中央線中野駅前のデパートで、デパートの店員や買い物客に何人かの死者が出ている模様です」

 アナウンサーが伝えているのは、さっきのひとつめの爆発音のことだろう。中野駅前のデパートでの爆発となると、こちらは無差別テロということなのだろうか。

 ニュースはまた別の話題に移った。

「先ほどのニュースに戻ります。高麗連邦政府は、日本にいる市民の生命の危険がかつてなく増大したとして、脱出のための飛行機、船を出すことを正式に発表しました。希望するすべての国民が対象となりますが、子供、女性、お年寄りを最優先し、早ければきょうじゅうに第一陣を脱出させるとのことです。日本駐留の高麗連邦軍は、連邦政府のこの決定を受けて、平和維持軍統合司令部に協力を要請しました。脱出のための手続きや、出発地、時刻などはまだ発表になっていません」

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