輸送コスト、肥料コストの高騰も、小麦価格に多大な影響を与えている(写真提供=ロイター)

[シンガポール]中東のある大手製粉会社が昨年10月、高品質のオーストラリア産小麦の一船荷に2300万ドル(約25億7600万円)を超える額を支払った。現在同社は同様の委託買付にさらに10%を上乗せする意向を示しているが、いまだ契約締結には至っていない。輸出業者が食糧用の高品質小麦を十分に入手できないでいるからだ。                              

 現在、パンや麺、その他の食品に使用される高タンパク質小麦の確保に、輸入業者の多くが奔走している。前出の製粉会社もその一つだ。小麦の生産問題が小麦産出大国で連続して起こったことで、各国の生産量と輸出可能な量が減ったのが原因だ。

 トレーダー各社は現在、他の生産地の代替品で供給不足を補おうと試みているが、購入者側は安定確保を懸念しており、これが高品質小麦の価格を数年来の高値に押し上げる一因となっている。

 産出大国の中で直近の問題を起こしたのはオーストラリアだ。今季、同国の小麦収穫量は過去最高の3440万トンが見込まれているが、例年より遅れて降った雨により、タンパク質含有量に低下が生じたのだ。

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