「親日国」台湾とともに生きる(下)

執筆者:北岡伸一2022年2月20日
航海・漁業の守護神の女神「媽祖」を祀る、台南市の大天后宮。訪れる人が絶えない、日常の台湾 topimages/Shutterstock

 台湾には1995年以降も、何度も行っている。岡崎久彦さんの研究所による日台対話、日米台対話、東京財団による研究会、世界平和研究所(中曽根康弘会長(当時)、私は2009年から研究本部長を務めていた)の日台対話、その他の学術交流など、毎年のように行っていた。中曽根さんは、海軍主計将校時代に台南にいたというので、中曽根さんの住居を探してみたことがある。確定はできなかったが、それらしい一群の宿舎はまだ残っていた。

 私は中国語会話ができないので、中国語の達人と一緒に行くことが多かった。一番多く一緒に行ったのは小島朋之さん(慶應義塾大学教授)で、それから松田康博さん(東京大学教授)、川島真さん(東京大学教授)などの友人だった。馬祖島にも行ったことがある。地下の要塞を見て歩いた。また、大陸回復のスローガンがあったが、のどかな場所という印象だった。

民衆が繰り出し、お祭りの要素もある台湾の選挙風景 (C)時事

 台湾の選挙を見に行ったこともある。台湾の選挙は、とても大掛かりで面白い。2008年の総統選挙は、国民党が政権の奪回に全力をあげていた。候補者は、地方から出発して、台北を目指して対話集会を重ね、大きなうねりを作って行進する。日本でもやったらどうかと思う。選挙の直前、民進党の有力者であった邱義仁氏は、2人だけになった時、今回は負けたと言っていた。さほど親しくもない私にずいぶん率直なことを言ってくれるものだと感心した。

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