日本領海である尖閣諸島・魚釣島周辺に侵入する外国漁船に対し、海上保安庁が「警告、立ち入り検査、検挙」という三段階の対処方針を固めたものの、外務省の反対で実施に移行できない状況に追い込まれていることが分かった。 海保によると、尖閣諸島周辺海域での中国、台湾の漁船などによる相次ぐ領海接近、侵入事案に対し、「従来の『警告』だけではもはや効果がない」として農林水産省、外務省などと実務レベルでの対処方針の検討を昨年五月から続けていた。 協議を重ねた結果、日本領海に侵入した漁船で「警告」に従わない船舶に対しては「停船を命じ、立ち入り検査を実施」し、領海外への退去を指導するとともに「警告書」を手渡す対処方針を固めた。 そして、警告書が累積した船舶に対しては「検挙」する強い方針を海保側が示した。しかし、その後外務省から「中国を必要以上に刺激する可能性がある」として、方針の適用に待ったがかかったという。 海保側は「現場で命がけで領海警備に当たっている海上保安官の苦労を顧みず、中国に気遣う外務省は、どこの国の外務省なのか」と強い不満を示し、尖閣問題では外務省との間に深い溝ができたままだ。

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