雨宮正佳・日銀副総裁(左)と中曽宏・大和総研理事長は、ともに黒田日銀で「非伝統的な金融政策」を徹底的に深堀りした   (C)時事=2点とも

   世界経済が混迷を深めるなかで、日銀の次期総裁人事に注目が集まってきている。現職で第2期を務める黒田東彦総裁の任期終了は2023年4月8日、残すところ1年を切った。自民党内でも水面下で候補者の絞り込みが進んでいる。

   現在、有力候補と目されるのは二人である。一人は、2013年から18年まで日銀副総裁を務めた中曽宏・大和総研理事長であり、もう一人は現職の雨宮正佳副総裁だ。ともに日銀生え抜きである。ただし、中曽氏が決済分野、国際分野などを歴任したのに対して、雨宮氏は政策立案の企画畑を歩いてきた。日銀の伝統的な考え方からすれば、雨宮氏は保守本流、中曽氏はテクノクラートと位置付けられる。

   両氏に共通するのは、黒田総裁の下で「非伝統的な金融政策」を徹底的に深掘りしたことだ。黒田日銀は国債大量買入れによる量的緩和、さらには日銀当座預金金利をマイナスに設定するマイナス金利政策などを推し進めた。その結果、中曽氏は安倍・菅両政権からの支持を得て、「特に菅義偉元首相は全幅の信頼を寄せた」(金融関係筋)と言われている。中曽氏がポスト・黒田の有力候補として浮上することに不思議はない。

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