見えてきた台湾全面侵攻というシナリオ(C)Andreanicolini/shutterstock.com


 ロシア・ウクライナ戦争が始まると、中国軍事科学院の姜春良は、ロシアが精密打撃などによって防空システムやその他指揮統制のカギとなる重要施設を即座に破壊し、ウクライナ側の戦争遂行システムを麻痺させると予想していた。

 しかしロシア軍は、ウクライナの防空システムを完全に破壊して無効化するのに失敗した。その結果、飛行機やヘリコプターが多数撃墜されることとなり、作戦に支障をきたした。ウクライナ側の指揮統制は今も機能し続けている。

 なぜウクライナが防空システムの維持に成功したのかは、現在のところ明らかになっていないが、ロシアの精密打撃能力が予想より低く、正確性に欠けるうえに弾数も不足していたこと、強力と考えられていたロシアの電子戦能力がほとんど威力を発揮しなかったことなど、要因はいくつか考えられる。

 また、北大西洋条約機構(NATO)の情報共有も見過ごせない。NATOはウクライナ軍にインテリジェンスを提供し、さらに3月からはリアルタイムのターゲティングデータを共有していた。こうした情報支援は、ウクライナ軍を大いに助けただろう。

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