新事務次官の横山氏は鶏卵汚職の再発防止策をとりまとめた

   農林水産省では、安倍・菅政権で恣意的な人事が行われ、数代にわたり混乱していた事務次官人事が以前の形に戻った。枝元真徹事務次官(61歳/1984年農水省入省)の後任に、横山紳官房長(59/86年農水省入省)が昇格した。

   同省では、菅義偉前首相と親しく、農協改革に辣腕を振るった功績で同期(本川一善元事務次官)の後の2016年に事務次官に抜擢された奥原正明氏(66/79年農水省入省)が、それまでの慣行にとらわれず技術系の職員を抜擢するなど、人事刷新を断行していた。「実力主義を徹底する」というのが奥原氏の主張だった。事務次官人事でも、水産庁か林野庁の長官、あるいは官房長から次官が就任するという旧来の昇進ルートを排していたが、同省元幹部は「今回の人事で従来の人事慣行が復活するのではないか」と話す。

   横山氏について同省OBは「人望が厚く、消去法的トップ人事が続いた近年、久々の本格派次官になるのではないか」と解説する。横山氏は、国際部長や経営局長などを経て20年8月に官房長に就いた。吉川貴盛元農相が鶏卵メーカーから賄賂を受け取っていた汚職事件に絡み、枝元前事務次官ら幹部の接待問題が発覚した際には、再発防止策を手堅くまとめた。ロシアのウクライナ侵略で食料・肥料価格が高騰し、食料安全保障の強化が喫緊の課題となっている。その手腕に注目が集まっている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。