トラブルの悪化を避けるためには、ユーザーに利用の自粛を呼びかけるべきではなかったか[通信障害が続いていることを知らせるKDDIのホームページ=7月3日午前] (C)時事

 完全復旧まで発生から86時間を要し、最大で3915万回線の利用者に影響した可能性がある――。

 日本の携帯電話の歴史上、最大のトラブルとなったKDDIの通信障害は、いったいなぜ、これほどまでに深刻化して事態が長期化したのだろうか。もっと早期に収拾する手立てはなかったのか。

 今回のトラブルはKDDI1社の問題にとどまらない。日本のIT情報社会の脆弱さを浮き彫りにする大事件だったと言える。

 まだトラブルが収束したばかりで、原因の究明や再発防止、利用者への補償、経営責任の明確化といった事後処理はこれからという段階である。

 とはいえ、有耶無耶にはできない大きなトラブルだっただけに、現時点で浮上している疑問を整理しておきたい。

被害はKDDIの回線利用者だけではない

 まず明確にしなければならないのは、今回7月2日未明(午前1時35分ごろ)に起きた通信障害の影響の大きさだ。

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