朝鮮戦争休戦協定締結から69年の記念式典で演説する金正恩党総書記(7月27日=平壌)(C) EPA=時事
 

 ロシア・ウクライナ戦争の勃発は朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の外交安保政策にどのような影響を与えたのであろうか。核兵器を含む圧倒的な軍事力を有するロシアの前に、核兵器を持たないウクライナの脆弱性が露呈したことで、北朝鮮が自国の安全保障のために核兵器は不可欠だと再認識したとの見方は妥当なものであろう。

 しかしながら、ロシア・ウクライナ戦争から北朝鮮が再確認したのはむしろ、「アメリカ帝国主義」の「変わらない本質」であり、核兵器の重要性もこうした文脈で理解されている点に留意する必要があろう。

北朝鮮にとっての「米国の本質」

 北朝鮮は、ロシアのウクライナ侵攻の原因は「他国に対する強権と専横をこととしている米国と西側の覇権主義政策にある」との認識を示しており、ルールに基づく国際秩序に対する「秩序変更」勢力の挑戦としてとらえる西側の理解とはかけ離れている(『朝鮮中央通信』22年2月28日)。

 むしろ、「主権国家の平和と安全を脅かす米国の一方的かつ二重基準的な政策が存在する限り、世界にはいつになっても平穏が訪れない」と強調し、米国を中心とする西側の「帝国主義」こそが平和への脅威とみているのである(同上)。 

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